Mix師がデータを受け取ってから納品するまで

Mixの概念

Mix師が歌い手さんからデータを受け取り完成データを納品するまでの工程を数回に分けて解説していきたいと思います。ある程度DAWの使い方や様々なプラグインの使い方をマスターしている方向けの復習のような内容になると思います。



データを受け取りから納品までの工程

  1. データの受け取りからラフMixの提出まで
  2. Mixの前に行う大切な行動
  3. 各楽器の関係性を考える
  4. 各トラックのグルーブチェック
  5. アナログ領域での適正レベル&音質調整(メーターの種類解説)
  6. アナログ領域での適正レベル&音質調整(実践編)
  7. スピーカーのツイーターはボーカルの物
  8. 時間軸の変化を味方につける
  9. 歌詞の聞き取り易さを確認(スピーカー、大中小それぞれ確認する)
  10. 第1Mixの提出、オンライン確認の様々な方法
  11. 歌い手さんからの修正(完成図を再確認する)
  12. 完成後、お渡しするデータ(音源編)
  13. 後が楽になるステムミックス納品

まずはデータの受け取り方法から解説していきます。

素材の種類や、DAW間のやり取りの仕方

Mix師はSNSやコミュニティーに登録してデータで素材を受け取ります。カラオケ音源とボーカル素材が納品されるパターンや、すべての楽器がバラバラに録音されているマルチの素材、DAWのセッションデータなど様々です。自分がどんなDAWを使っているのか、相手がどんなDAWを使っているのかを先に確認しておく必要があります。もし同じDAWでない場合は、テンポやマーカー情報を含んだMIDIトラックと頭合わせのオーディオファイルを書き出す必要がああります。

通常の状態

頭合わせの状態

頭合わせのオーディオファイルと言うのはDAWの左端から曲の最後までを一本化して全て同じ長さのオーディオファイルにして書き出す方法です。これによって別々のDAWでもMIDIトラックでテンポを読み込んだ後にオーディオインポートすると違うDAWどうしてもデータを受け渡すことができます。



データ便サービス

僕はギガファイル便と言うユーザ登録不要の無料大容量ファイル転送サービスを使用することが多いです。1ファイル200GBまでのファイルを転送することができて、最大60日間リンクが使用できます。速度もそこそこ早いので20GB以上のデータのやり取りには大変便利なサービスだと思っています。お互いにDropboxのようなサービスを使用している同士であればデータのやり取りの為に使用しても良いですが、直接共有ファイルにはさわらずにダウンロードしてから作業を進めていきましょう。

データを保存する領域

Mix師はPCのSSDの領域をいくつかの領域に、物理的に(パーティションで分割するという意味ではなく)分けておく必要があります。

  1. OSやソフトウェアソフトシンセのライブラリー等の領域
  2. Mixのための作業をする領域
  3. その日の終わりにMix中のデータをバックアップしておく領域(安価なHDDでもOK)

この3つを最低でも作るようにしておきましょう。さらに余裕のある人は急なハードウェアのクラッシュから守るために、OSやソフトウェアソフトシンセのライブラリー等の領域のバックアップを取る領域も作っておくとシステムが急にダウンしてしまったとき、すぐに復旧ができるため納期を安全に守りながら作業することができると思います。(Macの場合は、Time Machineを使用します。)
データのバックアップに関してはFreeFileSyncを僕は使っています。コピーされたデータが本当に正しくコピーされているかを確認するためにもう一つ別のソフト、ROXIO Toast 19 Titaniumの比較機能を使用しています。OSのコピー機能を使ってもきちんとファイルがコピーされていないことがあったりもするので2つのソフトを併用して使用しています。Mix作業が終わり、ワークSSDからデータを削除する時は絶対にこのソフトを使用しています。



データの再生確認をしておく

データの受け取りをしたら早めに内容物を再生して使用可能なデータかどうか確認をしておきましょう。どこかのパートが届いていない、コーラスのパートが足りない、マルチデータの場合は楽器が1つ足りないなど、データのやり取り最中の受け渡しミスはよくあることです。データの扱いに慣れていない方がいらっしゃると思うので、Mix師の方が気をつけておくとスムーズなやり取りができると思います。

テンポの検出、クリックトラックの作成

同じDAWではなかったり、MIDIトラックが送られてこなかった場合は自分でテンポを検出しなければいけません。クリックトラックがある場合は、そのトラックからテンポを検出します。ない場合は、ドラムトラックを使用してテンポを検出します。作成したクリックトラックとドラムトラックを同時に再生して1番グルーブが出ていると思う場所に届いたトラック全体を同じ値で移動しておきます。



PAN配置や大まかな各パートの大きさの確認

ドラムのPAN配置は特殊な場合を除いて

プレイヤー側の視点

お客さん側からライブを見ているような視点

この2パターンに分かれます。プレイヤー側視点ではハイハットが左側、ライドシンバルが右側に配置されます。小さいタムが左側、大きいフロアタムが右側に配置されるようなPANになります。お客さん側からライブを見ているような視点の場合はこの逆になります。その先のMixの楽器配置にも影響してくる項目なので事前に確認しておくと良いと思います。

僕の場合はバスドラム、スネア、ハイハットはセンターに配置することが多いのですが、トップのマイクやタムの配置の確認のため、初めてMixを行う方には必ず確認をしています。
現在ではあまり聞かなくなりましたが、ドラムをLRに極端に振り分けたドラムのミックスを行う場合は、全く違う概念だと思いますので、そのようなオーダーがある場合は先方から連絡があると思います。

ベースに関してですが低音楽器なのでセンターの場合が多いですが、シンセベース等でわざとステレオ素材で納品されている場合があります。オシロスコープなどのプラグインを使ってその素材がモノラルなのかステレオなのかを確認をしておきましょう。

ギターやキーボード、パーカッションなどの楽器は配置が割と自由になってくると思います。過去に発売されている音源があれば参考にしますし、トラックネームにL100(左振り切り) R30(右30) C(センター)などの指示が書かれていることもあります。もし指定がなければこちらが適正と思う配置にしておきます。

ピアノは、低音を左に、高音を右に配置して欲しいという方もいますので届いた素材を良く確認しておくと良いと思います。

メインボーカルはセンターに配置されることが多いのでセンターに、コーラストラックの広がりを考え配置します。その後にメインボーカルに対してのコーラスの音量を決めていきます。メインボーカルの音量に対してコーラスのバランスは人によって様々あるので過去に発売されている参考音源があればそちらを参考に音量を決めます。ない場合はこちらが適正と思う音量にしておきます。

音量バランスをうまく考える時にちょっとしたコツがあります。リズムは曲のスピード感や迫力を出す能力を持っている。ベース、コード楽器、コーラスはボイシング、その部分の響きを示している。メインボーカルとオブリフレーズ、ソロパートの楽器は、旋律とワクワク感を表現します。それぞれを3つのグループに分けてバランスをとっていくと良いと思います。自分が足りないと思ったら大きく、あり過ぎていると思えば小さくしていく。リズム楽器をミュートすれば、他の2つの要素の確認はしやすくなります。是非試してみてください。



ここで一休みしてラフMix作成

ここでいちど適正レベルに音圧を上げた、ラフMixを作って歌い手さんにざっくりのPAN配置と音量のバランスを確認してもらいましょう。大きく各楽器の役割が自分とイメージが違う場合があったり、コーラスの出し方がイメージと違ったりする場合があると思います。初めにその部分を指摘してもらうことが重要だと思います。本来であれば一緒にレコーディングをしながら曲を完成していくのですが、1度も歌い手さんに会わずに作業が終わることが多いので、楽曲に対する勘違い等を減らす意味も含めてこの工程はとても重要なことだと思います。



まとめ

楽曲の完成図を歌い手さんから読み取るという行為が、Mix師の一番大切な作業だと僕は思っています。この工程を端折ってしまうと、楽曲の終着点を大きく間違えてしまい。一からやり直しという結果に、特に初めての方のMixをする場合は特に大切にしていきたいです。
今回はデータの受け取りからラフMixの提出までの工程を解説しました。

次回はMixの前に行う大切な行動について解説したいと思います。

裏スタ
裏スタ

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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