Mix師が使用するゲートから始まりと終わりの重要性を考える

Mixの概念

ゲートはテープレコーダーを使用していた時代に、一定のノイズと信号を区別する為に使用されてきた機材です。

大型コンソールについているチャンネルストリップにはイコライザー、コンプレッサーと並びゲートが必ずついていてアナログテープのノイズと信号を1chごとに確認する作業工程がありました。

現在デジタルレコーディングが普及して、DAWから発生するノイズは音声の波形編集によって処理されていることが多いです。

2000年あたりからミックスでゲートが使用されていない作品が大量に市場に販売されていったと思いますが、ゲートは音の質感をコントロールする重要なエフェクターだと僕は考えています。

  • 奥行きのない音像(空間の広がりに頼らない)で音楽を表現する場合に響き要素で重要な部分
    • 発音タイミングの瞬間の質感
    • 音が減衰して無音になる部分の質感

この2点はかなりシビアにコントロールしていく必要があると考えます。

今回はかなりマニアックな内容ですが、実際に試してみると過去にミックスとは違った未来が考えられるような内容になると思います。

裏スタ
裏スタ

それでは詳しい内容に入っていきましょう!



どのような時にゲートを使うか

簡単なドラムループを使って、どのような時にゲートを使用していくかを説明していきます。

バスドラムのゲートをオンオフしています。

違いが分かりますでしょうか?

ゲートをかけると音の輪郭がはっきりとしてきています。

音の発音している部分の山にカーブがかかり、オンとオフの切り替わりスピードが変化しているためにこのような輪郭になっています。

ノイズと信号の選別をするだけではなく、信号の発音の仕方もコントロールできるので現在でもゲートは重要なエフェクターだと思います。



それぞれのパラメーターの違いを確認する

レシオがゲートにどのような影響を与えるのか確認してみましょう。

違いが分かりますでしょうか。

ドラムの音が発音される瞬間の感じが変化していると思います。

音の削り方を変化させて好きな音質に変化させましょう。

追加のサンプルを使用しなくても、原音をゲートによってこのように加工することが可能です。


今度はレンジを変化させていきましょう。

違いがわかりますでしょうか?

ゲートがかかった時にどのくらい量を変化させるかを決定できます。

より自然な処理をするときに変更していくと、ゲートをかけていることを気付かれずに処理が可能です。タムなどにはとても有効だと思います。


今度はアタックを確認していきましょう。

スレッショルドで設定した値をこえた時にゲートがかかりはじめるスピードを調節します。

ある程度、好みで調節は可能ですがゲートが開かない状態も作り出せてしまうので遅い設定を使用する場合は注意が必要です。


今度はリリースを調整してみましょう。

スレッショルドで設定した値よりも小さくなった時にゲートがの効果が無くなるスピードを調節します。

バスドラムの音の長さに注目してみてください。

音が小さくなる部分をコントロールすることで、ドラムキット全体の質感を調整することが可能になっています。


今度はニーです。

ゲートの角度をつけることによって、より自然な処理にすることができます。

ゲートをかけた時に違和感を感じるようであれば、使用しても良いと思います。

オケ全体を再生しながら調整するのがポイントになると思います。

裏スタ
裏スタ

オススメのゲートをいくつか紹介します!



FabFilter / Pro-G

プラグインのパッケージ購入、機能の重複に気をつけるで紹介した、FabFilter Pro Bundleに含まれるゲートです。

今回の説明動画で使用したプラグインです。

動作も軽いです。FabFilterは現在定番になってきているプラグインかと思います。

視覚的に音楽をとらえるならこのゲート

FabFilter / Pro-G

処理がリアルタイムで表示されるので作業効率アップ

簡単にゲートスタイルの変更が可能

逆ゲートのDuck機能があるのでトークバックの処理に使用可能

8

オールマイティ

8

操作スピード

6

マニアック度

9

痒いところに手が届く

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FabFilter/FabFilter Pro-G【オンライン納品】
価格:25850円(税込、送料別) (2021/2/21時点)


UAD / SSL 4000 E Channel Strip Collection

ゲートの代名詞Drawmerを除けば、テープ時代の音源はこのゲート回路を通った信号で音源が出来上がっているといっても間違いではないでしょう。

ノイズと信号の境界線に全てのチャンネルのゲートを設定する時代、信号の発音の仕方に当たり前に注目していました。

現在のDAWでは、フェードの書き方に一部変わったと思いますが、僕はフェードとゲートでは根本的に信号に与える影響が違うと考えています。

過去を見つめ直すことは時にはとても重要なことだと思います。

テープをレコーダーとして使用していた音源はほぼSSLのゲート回路を信号が通っていた

UAD SSL 4000 E Channel Strip Collection

歴史を振り返ることは時に重要なことを気づかせてくれる

音は目で聞く物ではない

シンプル設計

7

オールマイティ

9

操作スピード

1

マニアック度

4

痒いところに手が届く

UAD / Neve 88RS Channel Strip

SSLと同じくチャンネルストリップタイプに付属されているゲートです。

僕は大型コンソールではNeve VRを一番良く使用していました。

大量の熱を放出する卓で、メンテナンスが大変でしたが楽曲によってはとても効果的なサウンドだったと思います。

SSLとはまた違った質感のチャンネルストリップ

UAD / Neve 88RS Channel Strip

メンテナンスのし易さなどでSSLにシェアを奪われていきましたが楽曲によっては効果的な卓だと思います

音は目で聞く物ではない

シンプル設計

6

オールマイティ

9

操作スピード

1

マニアック度

3

痒いところに手が届く

UADのプラグインを使用するにはUAD-2 Satellite ThunderboltUniversal Audio Apollo Twin Xなどが必要になります。




まとめ

今回はゲートについて解説いたしました。

ゲートは、信号が出始める部分と、信号が出なくなる部分の質感を調整することができる機材です。

DAWでは、WAVが再生されていない場所では無音状態になるので使用する機会がかなり減ってきていると思いますが、重要な機能を見落としている可能性があります。

この瞬間が、人に音質の印象として与える影響が大きいことが今回の解説で確認できたと思います。

侍の刀を出す瞬間と、しまう瞬間に注目するような感覚で、音の出し入れも工夫していくと、よりスリリングなミックスを作ることができるようになると思います。

裏スタ
裏スタ

大切な事は、始まりと終わりを認識すること!

いつもは、信号がでた後の中間部分に皆さん注目していると思いますが、その他の部分も少し気にしてみましょう。

裏スタ
裏スタ

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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