今回はSumming mixer(サミングミキサー)についての記事を書きたいと思います。
サミングミキサーはDAWの利便性と、アナログミキサーの∞の解像度をミックスした作業環境を実現する為に開発された機材です。
大型コンソールを使用するような感覚でミックス作業を進めることが可能です。
オーディオインターフェイスのアウトからたくさんの音声を出力し、再度2MixををDAWに取り込むやり方で、後が楽になるステムミックス納品の記事で解説したようなステムミックスを混ぜる部分をアナログ機材のサミングミキサーでおこないます。
オススメ宅録Reamp Box(リアンプ・ボックス)3選この記事でも少し触れましたが、アナログ機材はデジタル機材と違いコンピュータープログラムではない為、解像度は∞です。
ハイレゾの音源よりも、滑らかな表現を可能に出来ますので、ある程度の高級機材を使用すれば、簡単に作業環境を向上することができます。
またソフトウェアと違い、一度購入するとDAWの相性などを考えずに導入することができます。
アナログ機材なのでメンテナンスが数年に1度程度必要になる可能性はありますが、ソフトウェアなどと違いリセールバリュー(中古として販売可能)なども高くお勧めの機材になります。
- 宅録のパワーアップには、まず入力機材(アナログをデジタルに変化させるパーツ)を強化するにはまずはこちらの3点が重要になってきます。
これによってAD(アナログからデジタルに変換すること)能力がパワーアップするので、その後のミックス作業が楽になります。
入力機材のパワーアップが完了したら、次は出力機材のパワーアップに進むことになります。
自宅のDAWをアップグレードしたい方へのお勧めセットに記事でご紹介したようなGENELEC 8341Aクラスのスタジオモニターを所有されている方であれば、サミングアンプや外部クロックの導入を検討してみるといいと思います。
- 自宅スタジオの方向性を大きく決定する部分になるので、慎重に選択を検討してほしいです。
- PC内部完結型の方は、外部クロックの導入を検討(トータルリコール重視)
- 夢のアナログミックスを実現したい方は、サミングアンプ導入を検討(PCの進化を待っていられない方)
今回はサミングアンプ導入を検討している方に向けた内容になります。
雑誌にのっている大型コンソールがうらやましいなぁ
でも高そうだし、家においたら寝る場所がなくなっちゃう。
だけどDAWのミキサーって、コンパクトエフェクターと違ってわくわくしないんだよね。。。
SNSや雑誌に掲載される、アーティストのスタジオ紹介記事などを拝見する機会も多くなってきました。
音楽作業のみを行う部屋があれば、いくらでも大量の機材や大型のコンソールを導入することは可能ですが、宅録ではスペースの問題があり厳選して機材を選択していく必要があります。
MERGING / PyramixのようにハイレゾフォーマットのDSDを扱えるDAWも存在していますが、あまり普及しておりません。
現段階ではPCMを取り扱うDAW、DAWにハードウェアインサートするアウトボード、16ch程度のサミングミキサーの組合せが現在のところ最強と僕は思っております。
それでは詳しい内容に入っていきましょう!
サミングミキサーの使い方
サミングミキサーはオーディオインターフェースからいくつかのステムミックスを出力し、サミングミキサーからは2Mixを戻します。
これによって、細かな調整はDAWで行い、最終的な音質部分でアナログのコンソールの利点を受けられる仕組みです。
ステムミックスの数が多いほどサミングミキサーの恩恵を受けやすいので、出力の多いオーディオインターフェイスが必要になります。
またサミングミキサーへ出力する回線のほかに、モニターに使用する回線も必要になるので注意してください。
ミックス中はサミングミキサーを通った後の回線を再度DAWのトラックに立ち上げ、そのアウトをモニターする形になります。
この方法であれば2Mixに対して、イコライザー、コンプレッサー、リミッターなども最終段でかけることが可能になります。
サミングミキサーを使用する為に必要な機材
サミングミキサーは16chくらいの入力が可能な商品が多いので、モニター回線+16chのアウトを持ったオーディオインターフェイスが必要になります。
Mix用とRec用オーディオインターフェイスを分けて考えるのなかで紹介した、Universal Audio / Apollo x8pなどを連結して出力を確保する方法。
商業スタジオにある定番機材をレコーディング時に使用できるプラグインが豊富
Universal Audio / Apollo x8p
たくさんのビンテージ機材を安価なコストで試すことが可能
メンテナンスをしていない実機であれば、音質でも勝てる場合がある
プリセットを保存しておき、自分の録音方法をトータルリコール可能(スタジオに入ったらマイクを接続するのみ)
無着色
操作スピード
マニアック度
クール
もしくは、Ferrofish / Pulse16 MXのようなADDAコンバーターを使用して、オーディオインターフェイスについている、ADATやMADIを使用して出力を増設する方法などがあります。
デジタルとアナログの架け橋
Ferrofish / Pulse16 MX
ADATの入出力を使用してアナログの入出力を拡張可能
多様なルーティングが可能
オプティカルMADI入出力に対応
無着色
操作スピード
マニアック度
クール
どちらの方法でも重要なことは、一定の価格以下の商品は使用しないことです。
アナログ機材はプラグインなどのデジタル機器とは違い、チャンネル数で商品の価格をわっていくと、その商品に使用されている基盤のクオリティーがある程度予測できます。
サミングミキサーをどうしても使いたいからといって、価格の安い商品を使用して回路を作ってもミックスに対して良い影響与える事は難しいと思います。
まとまった予算が確保できるまでは、オススメ宅録Reamp Box(リアンプ・ボックス)3選で紹介したような、各トラックにアナログ要素を取り入れる方法をお勧めいたします。
Solid State Logic / XLogic X-Desk
よりコンパクトなSSLを
Solid State Logic / XLogic X-Desk
商業スタジオの代名詞SSLが宅録サイズに
連結していくと最大160chの大型コンソールになります
粘りのあるSSLサウンドはPC完結ではまだまだ再現できない
多機能
操作スピード
マニアック度
クール
僕が1番初めに使ったサミングミキサーです。
粘りのあるSSLサウンドはPC内部完結ではどうしても表現しにくい音像だと思っています。
一般的なサミングミキサーとは違い、フェーダーが付いているタイプのため使用する際に少し注意が必要です。
使用する前にシグナルジェネレーター(信号音を出す機器やプラグイン)などを使用して、XLogic X-Deskを通って戻ってきた音が同じ音量になっているかを事前に確認してから使用する必要があります。
この確認を怠ると、最終ミックスが左右にずれてしまうような事故が起こりますので必ずこのチェックをする必要があります。
XLogic X-Deskの考え方は、SSLをコンパクトにすると言う考え方なのでフェーダーがついています。
拡張していくと、商業スタジオのような大型コンソールを宅録でも使用できるようなサミングミキサーです。
フェーダーがついていることによってレコーディング時にも色々な用途で使用可能です。
ギター録音などの4ch程度のライン信号をアナログ領域で混ぜることが出来ます。
またトークバック機能もありモニターコントローラーとしても使用することが出来ます。
小さなSSLという感覚で使用することが可能です。
アナログ領域で音を混ぜるということは、レコーディング時でも、ミックス時でも重要なことです。
SPL / MixDream XP
シンプルなサミングミキサー
こちらはフェーダーなどがついていないタイプです。
サミングミキサーとしては、こちらのようなタイプが一番使用しやすいと思います。
変更できる設定が少ないので、操作事故が起こりにくいです。
1U設計なので、スペース的にもコンパクトで良いと思います。
Solid State Logic / Sigma
DAWのオートメーションでアナログフェーダーがコントロール可能
Solid State Logic / SIGMA Delta
DAWオートメーションによってサミングミキサーのアナログフェーダーをコントロール可能
全チャンネルにダイレクトアウトを装備
モノ・ステレオを個別に切り替えられる最大 32入力
多機能
操作スピード
マニアック度
クール
色々なサミングミキサーが発売されていますが、サミングミキサー側にオートメーションが設定できるフェーダーがついている機器はSolid State Logic / Sigma以外僕は知りません。
アナログ領域で、オートメーションを設定可能なのでこのサミングミキサーは、チャンネル数の少ない大型コンソールということになると思います。
AWS系のSSLを好むエンジニアはあまり会ったことがありませんが、電源部分の改造で音質の向上がかなり可能になりそうな機器です。
このコンパクト設計で、オートメーション可能という点が最大の利点だと思います。
XLogic X-Deskとはまた違った、宅録の未来を感じさせる商品だと思います。
まとめ
今回はサミングミキサーについての解説となりました。
- ミックスの音質向上には2つの選択肢があります。
- 精度の高いクロックと、DSPプラグインを活用する(トータルリコール重視)
- サミングミキサーと高級なADDAを活用する(アナログの力を信じる)
それぞれのスタジオを使用される方の方向性によってお勧めの機材は変わりますが、同じ予算を2つの方向どちらに使用しても甲乙つけがたい素晴らしいシステムが構築できます。
大変予算のかかる内容になりますので、購入前には自分がどちらの方向に進んでいきたいのか慎重に考える必要があると思います。
次回は、トータルリコール重視の方向けに高品質なクロックについての記事を書きたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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