コンプレッサーは音量の大、小をコントロールするために多く使用される機材です。
イコライザーと並んで、日頃皆さんも多く使用している機材だと思います。
コンプレッサーは大きい音を小さくし、小さい音を大きくする性質のため、使用の際は演奏者の表現を減少させないように注意する必要があります。
また音量のコントロールのほかに、発音された音のスピードコントロールによって音の質感を変化させることも可能です。
コンプレッサーによるスピードコントロールを使用すると、1台のコンプレッサーだけでもかなり多くのバリエーションを使用することが可能になります。
Mix師が使用するイコライザーから空間の音を考えるで解説した平面的な音質の調整とは少し違った、時間の流れを使用した音質の調整が可能になります。
コンプレッサーはよく使うけど、レシオはいつも4で、アタックとリリースはデフォルトのままだね。
一応リダクションの値だけはかかりすぎないように気をつけてる。
音量の調節はできているし問題を感じたことはないよ!
このような方法でコンプレッサーを使っていると、音質の微調整をイコライザーに頼る形になり、音質の劣化がより激しくなっていくと思います。
スピードコントールを利用して、立体的な音質作りをマスターしていきましょう。
それでは詳しい内容に入っていきましょう!
どのような時にコンプレッサーを使うか
簡単なドラムループを使って、どのような時にコンプレッサーを使用していくかを説明していきます。
現在の状態で僕が思うことは、バスドラムが少し聞こえにくくなっている部分があることです。
バスドラムの音量を上げてしまうとドラムキット全体の雰囲気が変わってしまうので、コンプレッサーを使って音量の調節をしたいと思います。
音量を調節するコンプレッサーをオンオフしています。
違いが分かりますでしょうか?
バスドラムの音量が均一に近くなっています。
ただし同時に演奏者の表現が損われていることもわかりますでしょうか?
必ずバランスを考えながら適量の値をコンプレッションしていくことをオススメします。
レシオの違いを確認する
レシオはコンプレッション後の音量がどのくらいの圧縮率になるかを決定する値です。
値が大きくなっていくと、リミッターと呼ばれる機材に近くなっていきます。
実際にレシオの違いを確認してみましょう!
レシオ2を使用するとより自然なコンプレッションで処理をすることが可能です。
レシオ6になってくるとかなり演奏が均一になってきます。
用途に合わせたレシオを設定することが重要です。
ばらつきのある演奏であれば、レシオを大きくすることもあります。
反対にほんの少しのばらつきであれば、レシオを小さくすることで少ない範囲で調整することが可能です。
コンプレッサーを挟む前に原音を注意深く聴いてみる
とても大切なことです!
アタックとリリースの調整
アタックはコンプレッサーが機能し始めるスピードを調節する値です。
実際にアタックの違いを確認してみましょう!
音質の変化が分かりますでしょうか。
このように音量の時間的変化が加わると音質が変わったように感じます。
他の楽器との関係性が変わったり、原音がコンプレッサーにあたった後出力されるときの時間的な変化によって様々な変化が起こっていきます。
イコライザーだけに頼らなくても音質を変化させることが可能です。
今度はリリースを調整してみましょう。
リリースはコンプレッサーが機能し終わるスピードを調節する値です。
音質の変化が分かりますでしょうか。
コンプレッションされていない状態に戻るまでの時間がコントロールできるようになります。
打楽器では長めのリリースはなかなか使用する機会はありませんが、弦楽器いやトータルにかけるコンプレッサーでは長めに設定する場合も多々あります。
このようにして音の立ち上がり方や、余韻をコントロールしていき、他の楽器とのバランスを調整していくことができ、時間をコントロールすることでより目的に合った音像に近づけることが可能になります。
時間軸の変化を味方につけるでも解説したように、音楽は常に時間が一定の方向に進行していきます。
イコライザーは平面で音楽をとらえますが、コンプレッサーは、リバーブなどと同じく時間の変化をコントロール出来る機材です。
瞬間の時間なので注意深く試聴する必要がありますが、この変化を理解するとミックスのコントロールが少し楽になってくると思います。
初めは、感覚をつかむのが難しいと思いますが1つのつまみを大きく回して気に入ったところで止める。他のつまみを再度調節。また元のつまみにと繰り返すことで感覚がつかめてくるとおもいます!
原音とコンプされた音をミックス出来るコンプの場合
最近はコンプレッションされた音と原音をミックスできるコンプレッサーが主流になってきました。
この手法が選択できる場合は、さらにバリエーションを増やして調整することが可能になります。
リミッターのような状態のコンプレッサーも原音と混ぜ合わせることで、使用することが可能になります。
空間系のエフェクター以外をセンドで使う事はあまり本などには持ってないことが多いですが、このような使い方もうまく使用するといいと思います。
オススメのコンプレッサーをいくつか紹介します!
UAD / Empirical Labs EL8 Distressor
オススメ宅録COMP(コンプレッサー)3選で紹介したEMPIRICAL LABS / EL8X DISTRESSORのプラグインverです。
プラグインのみの原音とエフェクト音をミックスできる昨日は、ミックス作業ではとても便利に使用可能です。
実機にはついていないミックス機能、ヘッドルーム調整付き
UAD / Empirical Labs EL8 Distressor
Empirical Labsの創設者によって承認された唯一本物のDistressorプラグイン
ギター、ドラム、ボーカルをほぼ無限のゲインリダクション・バリエーションで調整可能
ドライ/ウェット・パラレル処理やユーザーがオペレーティングレベルをカスタマイズできるヘッドルームなどプラグインのみの機能を追加
オールマイティ
操作スピード
マニアック度
痒いところに手が届く
使用するにはUAD-2 Satellite ThunderboltやUniversal Audio Apollo Twin Xなどが必要になります。(CPUのみで作業されている方は、Empirical Labs / Arousorを検討してください)
FabFilter / Pro-C 2
プラグインのパッケージ購入、機能の重複に気をつけるで紹介した、FabFilter Pro Bundleに含まれるコンプレッサーです。
動作も軽いので、気軽に使用できるコンプだと思います。
視覚的に音楽をとらえるならこのコンプ
FabFilter / Pro-C 2
処理がリアルタイムで表示されるので作業効率アップ
簡単にコンプスタイルの変更が可能
オーバーサンプリングモードでトータルに使用も問題無し
オールマイティ
操作スピード
マニアック度
痒いところに手が届く
WAVES / Renaissance Vox
プラグインのパッケージ購入、機能の重複に気をつけるで紹介した、WAVES Renaissance Maxxに含まれるボーカル用コンプレッサーです。(ゲート機能などもついています。)
かなり自動化された複合的な動きをするダイナミクスプラグインですが、バスドラムなどにも比較的相性は良いかと思います。
アタックとリリースなどの調整がまだ難しいという方であればこちらを試してみるのも良いかもしれません。
少ないつまみで、調整が簡単
WAVES / Renaissance Vox
音のダイナミクスコントロールを1ノブで操作可能
柔らかな質感を持つノイズゲート搭載
倍精度ビット解像度処理
オールマイティ
操作スピード
マニアック度
痒いところに手が届く
まとめ
今回はコンプレッサーについて解説いたしました。
音量の大小をそろえたり、発音のスピードをコントロールすることができる機材です。
色々なメーカーがコンプレッサーを発売していて、レコーディングエンジニアは、この楽器にはこのコンプレッサーを使用するなど、自分なりのルールが存在しています。
オススメ宅録COMP(コンプレッサー)3選で紹介したような代表的なコンプレッサーに慣れてきたら、是非独特なコンプレッサーを試してみるのも良いと思います。
オススメ宅録Reamp Box(リアンプ・ボックス)3選で紹介したような方法を使えば、コンパクトエフェクターのコンプレッサーなどもまた違った可能性が見えてくるはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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