音声をデジタルデータで保管するというメリットとデメリットを理解する

Recの心得

音楽がデジタルデータで保管されるようになって、20年以上がたっています。

デジタルデータと言われると何回コピーとしても、全く違いのない音声をコピー出来るようなイメージがありますが、実際はほんの少しだけ違った状態でコピーされてしまいます。

アナログ媒体のコピーほど劣化はしないですが、 コピーした2つを比べるとエンジニアの耳には小さな疑問点を残しながらコピーをすることになります。

よくこのような話を誰かにすると、そんなに細かい違いは普通の人には理解できないと言うお答えをもらうことが多いです。

プロのマスタリングエンジニアはこの問題を理解した上で、音源を納品する際の色々な処理を行なっています。

リスナーの皆さんが聞いている音源を、ある程度の範囲で想像しながらお仕事をされてる状況です。

改めて日頃使用しているDAWとWAVというフォーマットについて解説していきたいと思います。

裏スタ
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それでは詳しい内容に入っていきましょう!



音楽を録音しているフォーマット

現在大半の方が使用しているフォーマットはWAVという物になります。

DAW上ではアナログの波のようなギザギザの波で見えていますが、アナログの波をパソコンが読み取れる文字列で表現しています。

この情報はバイナリという名前で呼ばれています。

音が変われば、文字列も変化します。

PCは音声を文字列の塊として認識しているということになります。

PCからUSBメモリへ音声をコピーするときは、文字情報の違いがないかを何度もチェックしながらコピーをします。

コピーの際に間違いがあれば、何度も修正をしながら自動でコピーをしてくれています。

デジタルだからといっても一回で正確にコピーがされているという訳ではないそうです。

逆相を当てると音声が無音になるのは同一PC上で同一DAW上の話

このブログで何回か位相の話をしてきました。

逆相で音声を追加した時に綺麗に無音になるのは、同じPCの中の話だからです。

PCは音声をバイナリで管理しています。

デジタルの世界で、音声を反転させれば綺麗な反転した文字列が完成します。

しかし、デジタル上でコピーをおこなった二つのデバイスから音声を同時に再生して逆相で再生した場合音声が綺麗にきえるかどうかはわかりません。

PCの個体の違いもあると思います。

I/Oの基盤の劣化の違いもあると思います。

ミキサーのチャンネルの違いもあると思います。

その日の電気の健康状態にあると思います。

PCの内部でおこなわれる処理と、リアルな現実社会では同じようでも実際は違うことが起きているのは事実です。

ミックスが作業が終わって納品する2MIXを作成する時にも影響がある

エンジニア達がDAWを使い出してすぐ、DAWの録音方式とミキサー機能は何かがおかしいという事に気がつきます。

最終ミックスの作業を一つの部屋に何人も集まって8時間くらいミックス作業をして完成品を作っていきます。

皆さんが納得したところで作業終了となるので、皆さんがいる前で録音しながら作業を終えます。

長い間作業をしてきた状態で録音する音源と、その後再起動をして録音する音源は明らかに違う音をしています。

これは気のせいなのかどうか、皆さんも是非ミックスの際に試してみてください。

そして録音された二つのデータがDAW上で逆相にした際に無音になるのかどうかを確認してみてください。

裏スタ
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面白いことがわかると思います!

デジタルとアナログの録音方式の違い

デジタルは一定の範囲であれば、半永久的に音声を保存可能な媒体であると僕は思っていますが、細かい細部はそもそも保存することができていない印象があります。

それに対してアナログは、物理的な世界の記録なので劣化のスピードは再生をしているその瞬間から劣化はしていくが音楽の細部を記録し、プログラムのエラーなどの問題がないメディアです。

レコードなどが一番わかりやすいと思いますが、物理的な溝を掘って音声を記録し再生します。

針が溝と接しているので、板を削りながら再生をするしかありません。

劣化のスピードは早いですが、記録出来る性質が根本的に違うメディアだということです。

それに対してデジタルメディアは、アーティストが録音した時間軸を毎回同じようなタイミングで捉えられているのかは常に疑問があります。

こちらの記事で説明したアーティストが感じとる音楽の時間軸は3/1000秒くらいが基本になっています。

プログラムエラーと隣り合わせのデジタルメディアでは、このシビアな世界観を記録できているのかはソフトウェアのヴァージョンなどでも違いがあり常に曖昧な状態です。

実際にDAWで検証すると微妙に録音されるWAVのタイミングがズレることは良くあることです。

CPUと現在使用されるOSという物は音楽専門に作られた物はないので、デジタルレコーダーのような商品とは精度が劣るというふうに捉えていただければと思います。

音楽ビジネスが、現在よりも経済規模が大きかった時代に使用されていたのは、SONYのデジタルテープメディアでした。

現在のProtoolsが導入されてから、音楽ビジネスの規模は縮小していきます。

前者はミキサーと合わせて、1億円もする高級機材です。

DAWのお値段は皆さんが現在ネットで検索可能なお値段になっています。

その2種類の機材の精度は言うまでもなく想像ができると思います。

配信サービスの記事でも同様のことが考えられると僕は思っています。

WAVデータの集合体の中で表現しやすい音楽

現在ヒットチャートで何故同じような構成の音楽が多くなっているのかも、DAWの普及が大きく影響していると思います。

音と音の混ざり方がDAWは独特な雰囲気を持っていて、以前のアナログメディアよりも水彩画のような音の滲みが表現しにくいと思います。

そこでアーティスト達は、油性マジックで絵を描くように輪郭のはっきりした構成パーツの少ない音楽を作り出しました。

彼らが録音機器の特性を理解はしていないとは思いますが、本能がそう感じるのだと思います。

感情がどこかのベクトルに作用する作品しか、彼らはリリースしない人達です。

現在水彩画を作りたいと考える方がもしいるのであれば、DAWの使用を今すぐ停止するか、その他の記録メディアの使用をお勧めします。

カセットテープMTRが案外理想の音源への近道かもしれません。

これらの音の話を僕らの耳は本当に理解しているのか

これらの話を僕が人に話すと、自分には違いがわからないと思う方が多くいます。

音楽の仕事を長くしていて感じることは、音楽の知識が豊富な人とリスナーは同じ答えを選択し、その中間の人が別の答えを選択するということ。

耳や言葉では理解できない内容も、人間は自然に脳が良いと思う選択に近づいていくようです。

音楽は耳だけで楽しむものではなく、感情にどう訴えかけるかの文化なので感じるままに判断していくことが重要だと思います。



まとめ

今回は、デジタルデータで音楽を保管するという意味を改めて解説しました。

デジタルで保管可能な領域は曖昧なままですが、半永久的な保存が可能なメディアだと思います。

多少の変化はありますが、多くのリスナーに製作者と同じような状態の音源を瞬時に届けられるメリットを持っています。

しかし32bit96kHzのWAVが主流になった現在でも、SONYのデジタルテープよりも全ての音楽に適しているかという疑問は僕の中では消えていません。

便利で管理のしやすい物が、人間の感情を100%保管出来る物という訳ではなさそうです。

裏スタ
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最後まで読んでいただきありがとうございました!

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