マルチマイクのススメ(Gtr編)

Recの心得

今回はマイキングに関して少しお話をしていきたいと思います。

空間に発生した音を狙った方向の音質に近づける為に、レコーディングエンジニアは複数のマイクを使用することがあります。

マイクはイコライザーのように音声を破壊しながら音の方向性を変化させる機材ではない為、積極的に使用することができます。

それぞれのマイクの特性を理解しながら、楽曲に追加するパーツをテトリスのように形を変化させながら追加していきます。

足し算でマイキングすることも可能ですが、引き算のマイキングも可能なのでエンジニアの永遠のテーマともいえる技術です。

うまく利用すると、演奏や楽器側で追いきれなかった部分をフォローすることも可能になるのでマスターしておきたい技術の一つです。

裏スタ
裏スタ

それでは詳しい内容に入っていきましょう!



マイキングの前に必ず行うこと

楽器やボーカリストにマイクを立てる前に必ずエンジニアがおこなうことがあります。

自分の耳で、ブースの中で発生している音を実際に聞くということです。

どのような音を出しているのかを確認しなければ、マイクの選択も出来ませんし機材トラブルにも気付くことは出来ません。

Mix師がMixの前に行う大切な行動で解説した、リファレンス音源の確認と同じくらい重要な行為です。

実際の楽器の音を確認できたら、マイキングに移っていきます。

基本は1本のマイクで音をとらえる方が位相的には有利になります。

たくさんの波は打ち消しあう効果があり、安易にマイクを追加することは音質にとって逆効果になる可能性もあります。

位相の概念はこちらの記事を参考にしてください。

1本のマイクでどうしても到達出来ない音がある場合に、初めてマルチマイクを考えていきます。

まずは1本のマイクを立てて、微調整が必要だと思ったら、楽器側で調整が可能であれば調整をお願いします。

例えばギターの場合だと、弾き方、ギターの調整、エフェクター、アンプ(それぞれの接続に使用するケーブルなども重要)というように音質を調整出来るパーツが複数あります。

良い音への近道は、音の出始めの部分の改善を怠らないということです。

アンビエントマイク以外のマルチマイクを使用する場合、追加するマイクと集音する音との距離を厳密に揃える必要があります。

何度かDAWに録音してみて、少しづつ距離を合わせていきます。

そうしないと打ち消し合う波が発生して、なんとも微妙な音になってしまいマルチマイクの良い効果を発揮できません。

マイクの位置は慎重に決定していくようにしましょう。

空間の音を別マイクで混ぜる方法

色々なマルチマイクの方法がありますが、空間の音を混ぜる方法は比較的わかりやすいと思います。

ギターソロなどに使用され、リバーブとは違った質感を楽しめます。

また、このアンビエントマイクを使用してサウンドを立体的に仕上げることが可能です。

実際の楽器の前に立ってサウンドを聞いている時、楽器から届く実音以外にも壁や床からの反射も同時に聞いています。

色々な音が混ざった状態のサウンドを人は立体的に感じているので、1本のマイクで録音した音が想像ている音とは違う音になる事も多々あります。

空間の音を混ぜていくことで、立体的に音を配置することが可能になります。

位相をそこまで気にする必要がない為、比較的導入しやすいマルチマイクになります。

それぞれのマイクの特性を補正する方法

ギターに使用するマルチマイクはこのセットが一般的です。

  • SHURE SM57
  • SENNHEISER MD 421-II
  • ROYER R121
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SHURE SM57で中域を、低音と高音をSENNHEISER MD 421-IIで補正し、音像の空気感を調整する為にROYER R121を使用します。

ギターで一般的なこのマルチマイクセットは、それぞれのマイクの音質の方向性を補い合い様々な方向性に音質を変化させていくことが可能です。

ROYER R121はリボンマイクなので、ファンタム電源などに注意しましょう。(故障してしまいます。)

ステレオで録音する方法

Roland JC-120のような特殊なステレオ効果を使ったアンプなどを使用する時には、同じ種類のマイクを2本使用するマルチマイクの方法があります。

また、キャビネットを2台使用しているギターの方などにも同じように、ステレオマイクを使用することがあります。

ギターFXなどの処理でわざとステレオでシステムを組んでいることがあるので確認してみましょう。

同じ種類のマイクを2つ使用して、それぞれのキャビネットにマイクを立ててステレオで収録します。



まとめ

今回はギターのマルチマイクに関して解説いたしました。

マイクは楽曲の中にテトリスのように楽器を配置する時に、イコライザーとは違い音を破壊せずに音質を加工できる重要な機材になります。

SHURE SM57、SENNHEISER MD 421-II、ROYER R121の黄金セットからスタートして、ギターのマルチマイクを是非楽しんで頂ければと思います。

スピーカーから同距離に配置するマイクは、楽器との距離に十分注意して各トラックの波がズレてしまわないように充分注意する必要があります。

初めのうちはDAWに何度か録音を繰り返して、一致するポイントを探していくと良いと思います。

波を合わせるヒントは、鉄のカバーの部分と楽器と合わせるのではなく。

マイクのダイヤフラムと楽器の距離を合わせるということです。

一度綺麗にあった配置になると、すっきりとした音像になるのでその感覚を覚えていくと良いと思います。

裏スタ
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最後まで読んでいただきありがとうございました!

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