音楽を試聴する方法は、時代の流れとともに様々な方法で変化してきました。
現在はサブスクリプションと呼ばれる定額の音楽配信サービスが主な試聴方法になってきていると思います。
音楽配信サービスの進化はこちらの記事を見していただければと思います。
音楽配信サービスには、自動音量調節機能が付いているものが多いです。
ユーザ側で1曲ごとに音量を調節しなくても、あらかじめ決められたルールに基づいて自動で楽曲の音量をソフトが決定してくれます。
この機能によってユーザ側は、複数のアーティストの楽曲を1つにプレイリスト入れ、ストレスなくシャッフル再生を楽しむことができます。
音圧の大きい曲は小さく、音圧の小さい曲は大きく再生される仕組みです。
楽曲を制作する方は、この仕組みを理解していないと無理に潰れた状態で迫力のない音源をリリースすることになってしまいます。
今回はどのような仕組みで音量の設定をしているかを中心に解説していきたいと思います。
それでは詳しい内容に入っていきましょう!
自動音量調整機能がサービスに設定された経緯
現在の仕組みになる前は、VUメーターと呼ばれる機材が納品される音源の基準で使用されていました。
主要なメーターの説明はこちらの記事を参考にしてみてください。
ユーザーが放送される内容によっていちいち音量の調節をしなくても済むように一定の基準を設けたいと言うことで使用されてきました。
しかし1部の制作者によってVUメーターの盲点をつくようなコンテンツが作られるようになってきました。
低音と高音では、低音の方が大きなパワーを持っています。
低音をある程度に抑え、ハイ上がりな音像を作ることによって、メーターはあまりふれずに派手な音像を作ることが可能になります。
地デジ化する少し前のテレビ放送では、CMの音量がとても大きく、ドラマの音は小さいという現状が発生している状況が続いていました。
この問題を解決するために、TV業界から新しい基準をラウドネスメーターによって設定するということになっていきます。
少し難しい内容が多いですが、興味のある方はこちらの公式サイトを見てみてください。
少し映画のような大きい音と小さい音を繰り返す作品によった考え方を持つメーターになっていると思いますが、VUメーターよりは音量の均一化という意味では一定の効果があったと思っています。
コンテンツが使用できる音量を、コンテンツ全体で測定するような仕組みもとっている為に、爆発音などの突発的な音もある程度容認されています。
突発的な音は、大きくてもうるさいとは人は感じず、連続的な音楽などはあまり音量が大きいとうるさいと感じるというような仕組みです。
10年くらいTV業界で一般的に使用されてきて、この仕組みが音楽配信サービスにも使用されてきています。
今では、デフォルトで機能がオンになっているサービスが多いと思います。
それぞれのサービスで設定されている基準が少し違いますが、TV業界よりは少し大きいレベルに設定されており、今までのCDのレベルによりは圧倒的に音を詰め込まない基準に設定されています。
音楽配信サービスがラウドネスを基準に設定していることによってどのような現象がおきるか
では、実際に音圧を詰め込んだ作品が配信サービス内でどのような影響を受けるかを確認してみたいと思います。
2つの音源の違いがわかりますでしょうか?
これと同じ現象が、配信サービスの中では実際におきています。
あまりレベルを詰め込んでいない作品と詰め込んだ作品を並べた時に、どちらが迫力を感じますでしょうか?
Mix仕上がりで、他の楽曲と比べてどうも納得がいかないというように思われている方は是非ラウドネスメーターという機材を研究してみると良いと思います。
NUGEN Audio / VisLM
音源のマスタリングをご自身でされるような方は、このようなラウドネスメーターを使用してみるのが良いと思います。
実際に音を追い込む際にどのくらいまで詰め込むことが可能かを確認しながら作業を進めることができます。
独特な動きをするメーターなので他の物で代用するのは難しいでしょう。
配信サービスに設定されている自動音量調節機能を確認するメーター
NUGEN Audio / VisLM
納品する先のプリセットを選択して測定開始
時間経過の確認しやすいUI
自宅でMA関係の仕事も可能になります
安定性
操作スピード
マニアック度
痒いところに手が届く
もっと簡易的なメーターでも作業は可能ですが、僕は映像関係の仕事もあるので、こちらのメーターを使用しています。
様々な納品先のプリセットが設定可能なので大変便利です。
このようなサービスを使用してご自身でマスタリングをされない方はVUメーターを導入し、あまりコンプレッションしていない音源を作り、その後のサービスに託すのが良いと思います。
一流のマスタリングスタジオは既にマスタリングの方向性を配信サービス中心に考えていますので、問題ないと思います。
オーダーの際に、音圧の部分に関してはオーダーをしないことが良いと思います。
マスタリングとはリスナーと制作者の掛橋となる作業なので、制作者の意図はほとんど必要のない工程だと僕は考えています。
まとめ
今回は音楽配信サービスに隠された、見えない天井について解説しました。
ユーザーが心地よい環境で連続して音楽を楽しむ為に、それぞれの音楽を自動で音量調節する機能が付いています。
しかしエンジニアの中でも、ラウドネスメーターの存在はあまりメジャーではありません。
その為、日本の音楽チャートは外国と比べて独特な音像の作品が多くなっています。
その事が1つの文化とも取れると思いますが、グローバルチャートの中ではMixの影響で他よりも迫力のない音楽というレッテルを貼られてしまう傾向にあると考えます。
以前にVUメーターの穴を探すような行為が取られたように、現在はこのラウドネスメーターの抜け道を通すような音源がグローバルチャートの中に多くみられます。
一定の法則にそって音源を制作すれば、より迫力のある状態でユーザーに再生してもらえます。
実際の音楽とは別の意味で、リスナーに影響を与えられるということです。
皆さんも是非、音楽配信サービスに隠されたガラスの天井を研究してみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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