現在発売されているレコーディング機器の多くは、決まった値の信号が入ってきたときに最大限の力を発揮できるような設計になっています。今回は各トラックのパワーを最大限に活かすいくつかのメーターについて解説していきたいと思います。
DAWを使用していて各トラックにメーターがついているが
とにかく赤いインジケーターがつかなければ
問題ないとなんとなく思っている
そんな方に向けた記事になります。少し内容が長くなってしまいそうですので2回に分けて解説していきたいと思います。
いろいろなタイプのメーターがありますが音楽制作で使用する主な3つのメーターを解説したいと思います。
それでは詳しい内容に入っていきましょう。
ピークメーター
オーディオインターフェイスの大半や、DAWのチャンネルにこのタイプのメーターがついていると思います。このメーターが振り切れて赤いランプがついたとき、それはデジタル上の限界値を超えクリップしたと言うことになります。
この状態はほとんどの場合録音のし直しと言う結果を招きますので、基本的にやってはいけない事と考えておくといいと思います。
業界の中で仕事をしていると、あえてこのピークを越えた音を好む方もいるので音楽の探求としては否定はしませんが、リスナーに渡す最終トラックの部分で使用するのはやめておいたほうがいいと思います。
受取手がノイズと感じる可能性が高く、製品としての価値を疑われる可能性があるので充分注意しましょう。
VUメーター
針のタイプとバータイプがありますが、現在では針のタイプを皆さんよく使用しています。NEVE VRには見た目はピークメーターのようなバータイプの物がついていました。
人間の聴感に近いとされていて大型のミキサーに設置されているのは、雑誌でもよくご覧になったことがあると思います。
レコーディングエンジニアの人たちはこのメーターがないスタジオで仕事をすることを、ほとんどの人が嫌がります。
そのくらい音を録音する作業の中では重要なメーターになります。
最近ではAVID Pro ToolsのメーターをバータイプのVUメーターに変えることができるので、きちんと調整されて入るかどうか確認できないVUメーターを使用する位ならばバータイプのVUメーターを使用する方も増えてきました。
ただ表示のスピードなどに問題が多く、アナログの物を使用している方がほとんどです。
いくつか商品を紹介しておきます。
針の触れ方で何がおきているか、俺にはわかる。
CURRENT,INC. CSP102A PROGRAM METER 2ch
SIFAM社製VUメーター使用
スルーアウト付
チルトスタンド付
精度
多機能
玄人度
クール
プロのエンジニアの方にはSIFAM社製VUメーターでないと使用したくないと言う方もいます。他の物とは動きが違うそうです。高級大型ミキサーをずっと使用してきたエンジニアさん達にとっては大切な相棒なのだと思います。
アナログが良いけどコストもおさえたい
TOMOCA Products AMU-2SII
DAW環境で使いやすいサイズ
好評のAMU-2Ⅳの性能はそのままに、さらに小型化&低価格化
ヘッドフォンやイヤフォンをさせます。
精度
多機能
玄人度
クール
初めて導入を検討していると言う形であれば僕はTOMOCA ProductsのVUメーターをお勧めすることが多いです。
これらのVUメーターへは専用のアウト回線を用意してモニター回線ラインとは別系統で音声を送るのが理想です。
そうしておくことで、DAW側で0VUをどの基準に合わせるかを素早く変更が可能になります。(詳しい使い方はまた後半で説明いたします。)
ラウドネスメーター
地デジ化や動画配信サービスサブスクリプションの普及とともにこのメーターを使用する仕事が少しずつ増えてきました。
放送関係の仕事をするポストプロダクションスタジオでは毎日使用されているメーターです。
簡単に言うと視聴者が番組を見る時に何度も自分でリモコンのボリュームを調節しなくてもすむように一定の基準値で音量を規制するためのメーターです。上記のVUメーターでは検出出来ない特殊な方法を用いてVUメーター上では針は触れていないが、視聴者に与える音声の存在感を大きく聞かせるようなことが可能だった為。
CM中は音量が大きく聞こえの、実際の番組は小さく聞こえると言うような状態がおきていました。
このラウドネスメーターはその部分が改良されてより視聴者のための快適な視聴環境整えるためのメーターになると僕は思っています。
僕は放送局に音声を納品する時、1分程度のスポット映像にたくさんの音源を使用していて、素早く音量バランスをとりたい時などに使用しています。
定額音楽配信サービスやYouTubeの自動音量調整機能はこのメーターの考え方は似ている機能だと僕は思っています。
現在の音圧的に張り付いた音楽は、音楽の表現の範囲を狭めていると僕は考えています。
音楽のリスナーが音圧の大きい音源を好んだわけではなく。
音楽の製作者側が迫力をリスナーに与えるためには音圧を上げるべきだと思いこみ。
誤った発想を過去に利用してきたために、起こった現象だと僕は考えています。
例えば自分の好きな昔の曲と、現在リリースされている最新の楽曲を同じプレイリストに入れて再生してみましょう。
自動音量調整機能がオンになっている状態で2つの音源を聴き比べたときに、現在の音楽は大変不利な状態になっていることに気がつくと思います。
放送ではラウドネスメーターが浸透しましたが、音源制作にはまだまだ導入されていないことが多いので僕はこのメーターの存在を大切に思っています。
まとめ
どんなに優れたエンジニアでも自分の耳のみで作業をしているわけではありません。
様々な機器のメーターなどを素早く確認し適正レベルに音楽を導いていきます。
バスドラム、スネアドラム、ハイハットのバランスを確認する。各トラックのグルーヴチェックで解説した、グルーヴをリスナーに感じてもらう為に重要です。
ラージスピーカーをならせない部屋で、スーパーローの成分の含まれている素材も音量を決定する。MasteringはMasteringサービスにお任せ(Masteringプラグインは購入しない。)で紹介した、優秀なマスタリングエンジニア達も、許容範囲をこえた歪なミックスからは最高の音源を生み出すことは困難になってきます。特に低音は大きなパワーを持っているので、実際にUVメーターを使用してみるとミックスのヒントにもなっていくと思います。
今回はメーターの説明になりましたが、次回は実際にVUメーター、ピークメーターを使用して楽曲データのアナログ領域で行う下処理を解説していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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