僕は日頃、音楽機材を使って様々なアイディアを生み出す人たちと一緒に生活しています。
彼らは常に新しいものを生み出すために、日々試行錯誤を繰り返し自分の脳内にある形を音楽に置き換える作業をし続けています。
新しい製品を完成させた後、自分自身でも作品を評価し他人からの評価も受けながら次回作の課題として捉え成長し続けていきます。
そんな彼らから、音響的な面でアドバイスを求められることが多々あります。
そんな彼らに1番初めにしているアドバイスを皆さんにもご紹介したいと思います。
それでは詳しい内容に入っていきましょう!
僕に届く質問の内容
いくつかの代表的な質問をご紹介したいと思います。
今まで使ってきた作業環境はあまりお金がかかっていないので今後はどの部分に資金を投入していけばいいか?
パソコンの中で動いているプラグインは所詮本物のコピー品なので、やっぱりアナログで機材を揃えてみたい。何かオススメありますか?
自分でミックスしてみた作品があるのですが、音響的なアドバイスが欲しいです。
これらの質問は大変多く受けます
これまでブログで、ミックスに関する考え方やオススメの機材などいろいろな内容を書いてきました。
しかし個別の具体的な方法に入る前に、考えておくとても大切なことがあると考えます。
それは自信の音楽をしっかりと確認できるリスニング環境を本当に構築できているかどうかです。
スピーカーってイヤフォンと違って自分が思っている音像と違うので意味ないと思うんですよね?周りの家からの苦情も怖いので必要ないと思っています。
都会の住居環境では、大変難しい課題であることは確かです。
作品を完成させた後、他の人の作品と何かが違うと言う違和感を感じている人は、とても多いのですがその違和感をモニター環境の問題に気がつく人はとても少ないように感じます。
住宅事情の制限がある中でたくさんの人がこのことを見失ってしまう状況も大変理解できます。
このような質問をしてきた方に対して、僕は自分の作業スペースに本人を呼び自分の作品と自分が目指している作品を何も言わず聞かせます。
大抵の方は、夢中になって自分の気にいっている音楽と自分の作品を聞き比べしていきます。
僕が彼らに伝えたいことは
現在の全ての悩みは、リスニング環境の問題であって本人の判断の能力の悩みではないということです。
一度この体験をした方たちは、試してみたいことが次々と溢れ出てきて僕が何かをアドバイスすることもなくまた音楽に没頭していきます。
その後にされる質問は、本質的に内容が変わっていることが多いです。
僕が何かを説明することもあまり必要はなくなり、自走していく方が多いです。
僕が恵まれていた点
僕は田舎の生まれで、大きな音を小さい頃から体感することができた事はその後の音楽に大きな影響を与えていると思います。
現在は都会に住んでいますが、重低音や大音量で音楽を再生する環境を作っています。
自宅では、小さなスピーカーを使っていますが常に聞こえていない部分の音がどんな感じになっているかを想像しながら作業をしています。
当然想像しながら作業をするので、失敗もあるのでその辺はデジタルの機器の恩恵を受けながらスタジオで調節をします。
プラグインの恩恵はまさに、作業を保留に出来る点だと思います。
重要なのは自分の作品がどう聴こえているかを、1度は確認できる場所を作ると言うことだと思います。
宅録環境の妥協点はどのラインに考えるか
最終工程を誰かにお願いする
宅録で大音量重低音の環境を整える事は大半の方が不可能だと思います。
その結論から、僕はマスタリング関係の仕事はプロにお任せの方法をオススメしています。
聴こえない領域は、自分で判断しない。
コストと結果の関係でこれが一番お得です。
僕らは、音楽を作ることと音を混ぜることに注目していき、マスターのレベルは詰め込まずマスタリングエンジニアに自由度をもたせる。
音響の変化を感じても気にしない。
シンプルな考え方です。
世の中にはたくさんのマスタリングプラグインが発売されていますが、大半の方が使い方を間違い大切な作品を劣化させた状態でリリースをしている状況です。
ラウドネスメーターという言葉を聞いて、ピンッとこない方は是非こちらの記事を読んでみてください。
自分の信頼できる環境をレンタルする
それでも自分で作品を仕上げたい方は、商業スタジオを最終確認の時だけレンタルする方法があります。
何回か、同じスタジオに通うことで大音量重低音の状態がどのようなことになっているかを想像することができるようになると思います。
レコーディングスタジオはたくさん存在していますので、ご予算と相談して一度は体験してみると良いと思います。
僕が好きなスタジオのリンクはこちらになります。
大きな部屋から小さな部屋色々ありますが、重要なのは重低音と大音量を体験することなので、小さな部屋で体験すると良いかと思います。
初めて借りるような場合は、スタジオのエンジニアさんについていただいて色々機能を教えて貰うような方法をとると良いと思います。
ご自身の機材を持ち込んでモニター環境だけ借りる方式は現在メジャーになっています。
ノートパソコンを使用している方は簡単に機材を持ち込んで作業をすることができます。
内部完結型の方は、こうゆう点が有利ですよね。
自宅で再現できる帯域のみをフラットに試聴する
大音量と重低音の部分は、その他の方法に任せて自宅では確認しやすい帯域に集中する。
家庭環境の音響作りの難しさがありますので、スピーカーは自動補正機能が付いている製品が良いと思います。
比較的安価な商品ですとIK Multimedia / iLoud MTMがやはり導入しやすいと思います。
こんなに小さいのに自動EQ補正スピーカー
IK Multimedia / iLoud MTM
初心者に優しい自動EQ補正機能
スピーカースタンドが無くても設置可能
音響設計されていない家庭環境に最適
音質
操作スピード
マニアック度
クール
上を言い出すとキリがないのと、そこから先は部屋の環境も含めた状態で初めて性能を発揮できると思います。
重要なのは、部屋の素材や形によって影響をうけた音像を補正できる機能がついているという点だと思います。
現在使用しているスピーカーを使ったまま、補正機能をプラグインで追加する
現在使用しているスピーカーはそのままで、補正機能をプラグインで追加するような方法もあります。
IK Multimedia / ARC System 3は最近人気がでてきました。
しかしマスターセクションにプラグインをさすことになりますのでレイテンシーが発生してしまいます。
ミックスのみを行う方は問題ありませんが、録音も行う方はスピーカーにこのような機能がついている方が良いと思います。
現在使っているスピーカーを測定して補正
IK Multimedia / ARC System 3
部屋の鳴りを計算してスピーカーを補正
リスナーの環境を想定した試聴環境を再現することが可能
ミックスのみを行う方であればレイテンシーがあっても問題ないかと思います。
レイテンシー
操作スピード
マニアック度
痒いところに手が届く
まとめ
宅録をされている方のほとんどの悩みは、良質なモニター環境を作ることで解決できると僕は考えています。
良質のコンパスがあれば、違いを判断できるようになり自分で答えを探していけるはずです。
何より大切なことは、大音量と重低音を体感すること。
- 大は小を兼ねる
という言葉がありますが、音楽でもこの考え方は当てはまるようです。
人間は耳だけで音楽を聴いているのではないそうです。
体感することが重要です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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