今回の記事はグルーヴと言う言葉の意味を理解する何かにきっかけになればと思って書いています。
実音をEQしたり、コンプやディエッサー、エキサイターなど
様々なエフェクターを使用してMixをしていたけれど
何かモヤのかかったような音源が出来上がってしまった
こんな経験はありませんでしょうか?
歌い手さんがきちんとしたレコーディングスタジオで録音する事はなかなか難しいため、ほとんどの場合が自宅で録音されているトラックだと思います。
録音環境は様々、その時に聞いていたオケとクリックのバランス、パソコンのレイテンシー問題などの関係で実際に本人が望んでいるタイミングに自分のプレイが録音されているかどうか。
かなりの確率で問題が起きている可能性が多いと思います。
今僕がずれていると言っている値は1000分の1秒単位(1ms)の話ですが、グルーヴと言う意味合いでは大きくミックスの最後の結果が変わってしまうので慎重に確認する必要があると思います。
実際にレコーディングに立ち会える場合にはその環境を自分で管理することができます。しかし頂いたデータをミックスする作業の場合は以下の確認を僕は行うようにしています。
実際にこの作業をする場合は、データを頂いた方にトラックのタイミングを1ms単位で動かすと言うことをお伝えしておくと良いと思います。
それでは詳しい内容に入っていきましょう!
各トラックをまとめる
前回の各楽器の関係性を考えるの記事で、現在すべてのトラックの音が出ている状態です。
今聞いてみてもし気になる点があれば先に修正をしておいてください。
修正が終わったら楽器をグループでまとめていきます。
バスドラム、スネアドラム、ハイハットなどドラムのマルチマイクをまとめ1つのトラックを動かしたときにすべてのトラックが追従するようにします。
ベースギターのマイクが2種類であったり、ピアノのためのマルチマイク。
バイオリン、ビオラなどの、ストリングス関係のマルチマイク。
1つの演奏をいくつかのマイクで収録したマイクをグループにまとめると言う考え方です。
これをバラバラに動してしまうと位相がおかしくなるのでグループにまとめます。
音源とクリックのタイミングを検証する
グループを作ることができたら、どんな方法でも良いのですが1回コマンドを入力したら3ms単位でタイミングが移動できるような状態にします。
ここのポイントが今回の記事で1番重要です。
クリックと全てのトラックが聞ける状態にします。
クリックを全体のトラックに対して3ms手前に移動してみたり
3ms後に動かして聞いてみます。
何か違いを感じるでしょうか?
演奏との絡みが良いと思う場所に遠慮なくクリックを移動してみてください。
ベストと思うタイミングが見つかったら、今度は1ms単位で同じことを繰り返します。
ベストと思う場所が見つかったらクリックタイミングの完成です。
自分でクリックを作った場合で、イマイチ良い場所が見つからないと思う場合はクリックの種類を変えてみましょう。
クリックにも色々種類があり、音の発音の形が違いますので色々試してみると良いと思います。
グリッドラインが作業効率に重要であれば音源全体を移動
もしグリッドラインと違う場所になっていて気になる方は全体をグループにして全体をクリック中心でグリッドラインに移動しても良いとは思いますが、動かす場合は元の演奏が本当はどこにあったのか、プレイリスト機能などを使って保存しておくようにしましょう。
ここでこれからミックスする音楽性を確認
ここから先は2つのパターンのミックス法式に分かれていくと思います。
僕はダイナミクス型のエフェクターで実際トラックのタイミングを変えずに聞こえ方を変えてグルーヴを出していきたいと思うエンジニアです。
ポップスなどではこの考え方は問題にならない場合が多いですが、ハイゲイン系の音楽では実音のタイミングの移動は避けては通れないと思いますので、タイミングを変えていくミックス法式の解説を進めていきます。
実際のトラックを少しずつミュート解除していき、タイミングを確認する
クリックとドラムが聞ける状態にします。この先はクリックに対して行った作業と同じで3ms単位、1ms単位でタイミングを移動していきます。ドラムが終わったらパーカッションやリズム系のシンセ、SEなど、ベース、コード系の楽器、リード系の楽器、ボーカル、コーラスとやっていきます。
変化後と変化前を確認
すべてのトラックのタイミングを変更することができたら一旦オリジナルのタイミングに戻して聴き比べてみましょう。
前回の各楽器の関係性を考えるの中で思ったやりたい事が減っている部分がありませんでしょうか?
このようにタイミングを変えると言う事は、ミックスに対して大きな影響を与えることになります。
なので、音質の変化の作業をする前に僕はこの時間をとっています。
まとめ
本来の演奏力がスタジオ環境などで損なわれたりすることもあるので、現在のレコーディング環境化では重要な作業だと僕は思っています。
かなりマニアックなお話だと思いますが、ミックスに与える影響が重大なためお伝えさせていただきました。
ただ歌い手さんが表現をしたタイミングを変更するという行為は、演奏に含まれる行為なので本人の許可なく移動するという事はやめておきましょう。
完成図は歌い手さんにしか見えないので、Mix師は手法を提案するという立場を忘れないようにしたいです。
次回はアナログ領域での適正レベル&音質調整について解説したいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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