皆さんはどのようなサービスを使用して音楽を聴いていますでしょうか?
最近ではアップルミュージックやSpotifyなどのストリーミングサービスや、moraなどの高品質なハイレゾのサービス。
物としての価値を大切にする人は、現在もCDを購入していると思います。
どのようなメディアに音楽を収納するにしても、皆さんの耳とは違い箱の中に収められる限界があります。
僕らの耳には聞こえないですがコウモリが感じ取れるような高周波は入れられませんし、地鳴りのような超低音も入れられません。
デジタルは、人間が確認出来る音に注目して録音する帯域をあらかじめ選別して作られたフォーマットだということです。
また音の大小の比率も一定の限界値があります。
小さな音は、S/N比(エスエヌヒ)と呼ばれるノイズと信号のバランスでノイズよりも小さな音は簡単には収録できません。
大きな音は、収録可能な最大レベルの関係で一定のレベルを超えた値はクリップしてしまいこれも適正レベルに抑える必要があります。
主に打楽器は対象の音量差を繰り返す楽器ですので、これを上手にコントロールして一定の大小の比率にしてメディアに収める必要が出てきます。
Mix師が使用するコンプレッサーから時間の流れを考えるで解説したようなコンプレッサーでも同じような処理が可能です。
テープシミュレーターはコンプレッサーとは少し質感の違うダイナミクスコントロールが可能になっています。
テープの質感が、エンジニアに好まれ現在でもたくさんの人に使用され続けています。
それでは詳しい内容に入っていきましょう!
なぜテープを使用したいと思うのか
レコードもテープもアナログで音声を記録するメディアです。
PCで扱うWAVやDSDはデジタルで音声を記録するメディアです。
皆さんの耳は、アナログで出来ていると現在僕は思っています。
人々が実際にライブに足を運ぶ理由が、このアナログという部分に大きく影響していると感じます。
フルアナログでレコーディングした音源と、フルデジタルでレコーディングした音源は根本的に完成の質感が異なります。
お好きな楽曲を年代ごとに並べていただいてプレイリストで再生してもらうと確認できると思います。
デジタルの環境では、それに適した現在のヒットチャートのような楽曲構成がベストですし、アナログの環境では過去に作ってきた楽曲構成がベストだったと思います。
レコードは音を一回しか録音することしか出来ないので、アナログのレコーディングではテープを採用していきました。
レコーディングにテープを使用する歴史は大変古く、レコードの代わりとして多くのエンジニアの耳を魅了してきました。
僕が音楽業界に入って10年ほどで、ほとんどのレコーディングがPCで行われるような状態になりましたが、現在でもテープのレコーディングを大切にしているエンジニアは存在しています。
厳密な温度管理の難しさや、作業効率、予算縮小の関係で徐々にDAWに以降していきます。
実物のテープはエフェクターの1つとして利用されるのが、現在のトレンドになっていると思います。
それでも人の耳はアナログでできているので、どうしてもテープを使用したい気持ちを抑えることが難しいようです。
そこでテープシミュレーターという製品が数多く開発されました。
製品の精度は年々向上し、プラグインタイプであればDAWすべてのトラックに差し込むことも可能な時代になってきています。
テープシミュレーターを実際に使用してみる
実際にDr Loopにテープシミュレーターを使用してみます。
Drキットのそれぞれの音がテープシミュレーターを通過し、それらをまとめたバスチャンネルでもテープシミュレーターを使用しています。
音の変化がわかりますでしょうか?
楽器の質感が大きく変化しているのがわかると思います。
この質感が皆さんに好まれ、色々なテープの種類やデッキの機種をシミュレートした製品が発売されています。
ガラッと音質が変化するので、テープシミュレーターを使用すると決めた場合、初めから刺した状態でミックスを開始するのが鉄則です。
画面左が、各トラックに使用するマルチテープと呼ばれているテープシミュレーターで、右が2Mixに使用するハーフテープと呼ばれているテープシミュレーターです。
実際にはテープの厚さの違いがあり、用途が違いましたがDAWの中では自由な発送で使用しても問題はないかと思います。
思いついたらどんなつなぎ方も可能なのが、デジタルの良さですね!
UNIVERSAL AUDIO / Studer A800 Multichannel Tape Recorder
テープデッキの王様
UNIVERSAL AUDIO / Studer A800 Multichannel Tape Recorder
設定がシンプルで使用しやすい
UNIVERSAL AUDIOのオーディオインターフェイスと併用で当時のレコーディング環境を再現
DSPでPCに負担をかけない
オールマイティ
操作スピード
マニアック度
痒いところに手が届く
UNIVERSAL AUDIOから発売されているテープシミュレータープラグインです。
僕はStuderというメーカーが好きなので、DAWではこのプラグインを使用することが多いです。
ミックスでは、RMEやAVIDのオーディオインターフェイスをオススメしていますが、レコーディングではやはりUNIVERSAL AUDIOのオーディオインターフェイスは強いです。
LUNAと併用すると当時のレコーディング環境を再現できるという夢のようなことも実現可能です。
今後の発展に大変期待しています。
ミックスのみに使用する場合はこちらのDSPを購入し、プラグインを購入して使用します。
プラグインでまずは使用してみて、どのメーカーのテープが好みか確認していくと良いと思います!
RUPERT NEVE DESIGNS / Portico 542
アナログを求めるならアナログ機材を素直に使用する
RUPERT NEVE DESIGNS / Portico 542
アナログには勝てない
500シリーズなので宅録でも安心の小スペース
ステレオ素材に使用するには2台準備するか工夫が必要
オールマイティ
操作スピード
マニアック度
痒いところに手が届く
アナログを求める方向性のエフェクターの場合、素直にアナログ機材に頼った方が話が早いです。
本物のテープとプラグインの中間の位置づけの製品になると思います。
注意する点としては、ステレオ素材に使用する場合は2台使用する必要があります。
Six Space 500 Series Rackなどの箱に詰めて使用します。
ランチボックスと呼ばれるこの箱は、エンジニアに人気の機材です!
宅録にも安心の小スペース設計です
ROGER MAYER / 456 Stereo
特定のテープに特化したテープシミュレーター
ROGER MAYER / 456 Stereo
シンプル設計
ステレオ仕様
アナログテープは456、レコーダーはSTUDER A-80を参考にしている
オールマイティ
操作スピード
マニアック度
痒いところに手が届く
気に入ったテープやデッキが限定されているのであれば、よりシンプルなこちらの機材も良いかもしれません。
アナログで回路がシンプルなことは良いことです。(基盤の接点が少ない)
こちらはステレオ仕様です。
500シリーズであればこのような製品もありますが購入が少し困難です。
ランチボックスに入れるのであればこちらをオススメいたします。
まとめ
今回はテープシミュレーターに関して解説いたしました。
アナログ領域の演奏を、デジタルプレイヤーの箱の中に収める為に使用する機材です。
コンプレッサーとは違った音質の、ダイナミクスコントロールが可能なので大変人気の機材になります。
デジタル環境の作業が多い現在にとって、アナログのパワーを導入できる素晴らしい機材の1つだと思っています。
是非お気に入りのテープエフェクトを試していただければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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