完成後、お渡しするデータ(音源編)

Mixの概念

確認作業も終了し歌い手さんのOKをもらうことができたら、完成した音源を先方にお渡しすることになります。

今回は通常の音源に合わせて、お渡ししておいた方が良い音源をいくつか紹介したいと思います。

やりとりをしていた歌い手さんが

レコード会社さんから作品をリリースすることになったけど

社員さんがやりとりの間に入ったために専門用語がたくさんあって

何を言っているのかよくわからない

こんな内容でずっと悩んでいませんでしょうか?

今回は業界の中だけで使われている用語を交えて納品データに関して解説したいと思います。

それでは詳しい内容に入っていきましょう。



納品するデータのフォーマット

まず初めに準備するデータのフォーマットの話から説明します。

これは現在使用しているセッションのビットレートとサンプリングレートと同じ状態のWAVデータをお渡しするようにしましょう。(AIFFなどその他のファイルもありますが、WAVを選択しておいて間違いはないかと思います。)

ハイレゾ音源がスタートしてからレコード会社の方は、基本的に24bit96kHzWAVの納品を求めてきます。

もしあなたが24bit48kHzで作業しているようであれば、96kHzの納品はお断りしてください。

96kHzで作業していると勘違いされて、96kHzの作品としてハイレゾ商品に並んでしまいます。

また32bitで作業しているようであれば、大きい方に合わせて32bit48kHz(96kHzで作業されている方は96kHz)で納品することは問題ないと思います。

その時に24bitにして欲しいと言われたら、下に下げていくことは問題ないので24bitのファイルを作成してあげましょう。

そして合わせて通常の配信サービスで使用される16bit44.1kHzのデータも準備するようにします。

ハイレゾ以外の配信サービスでは、この音源が納品されることが多いです。

納品する音源の種類

1つ目は、すべての音が収録されている通常の音源です。

作品を購入すると一番初めに収録されている音源です。

業界ではティーディーマスター(TD MASTER)、トラックダウンマスター、ファイナルミックスなどと呼ばれています。


2つ目は、歌い手さんが生放送などで使用するメインボーカルを1つだけオフにしたカラオケ音源

歌い手さんはライブなどでこの音源を使用してライブなどを行うことが多いです。

実際に自分でも歌ってみて、2つのパートなどが重なっている部分などがあればライブでどのパートを歌うか確認が必要になります。

また複数のメンバーがいる場合は、〇〇さん用のパートだけをミュートした音源を作成しておくと個別の配信ライブにも対応出来ますし、歌ってみた用のカラオケ素材になります。

またイントロから歌い出しのパートがある場合は、おしゃれなクリックもセットで合体すると良いと思います。(アイドルの方などは、普通のカウベルではなく、可愛い電子音が鳴っていることが多いです。)

このようにカウントを入れることによって、カラオケの音源が再生されたと同時に歌い始めることが可能です。

業界では、マイナスワン(2MIXから1つトラックをマイナスした意味)、ティーヴィーミックス(TV MIX)などと呼ばれています。


3つ目は、声関係を全てミュートしたインスト音源です。

配信サービスなどで、通常の音源とセットでリリースされていることが多いです。

カラオケ音源と同様に歌ってみた用にも使用されると思います。

業界では、純カラ(純粋なカラオケ)と呼ばれることもあります。


最低でもこの3つは必ず落としておくようにしましょう。

エンディングをフェードアウト処理しているような曲がもしあれば、カラオケ音源のトラックだけフェードアウトのオートメーションをオフにしておくと、後からつなぎ合わせることでいろいろな組み合わせの音源を作ることができますので時間の短縮になると思います。



自分のミックス作業の後にマスタリングエンジニアが控えている場合

レコード会社の仕事であれば、ミックスの工程の後にMasteringはMasteringサービスにお任せ(Masteringプラグインは購入しない。)で紹介したような、マスタリングエンジニアが控えていることが多いです。

マスタリングエンジニアに渡す用の音源は、トータルリミッターを少し緩めたような音源も準備しておくと処理しやすいと思います。

作成した音源は必ず複数の環境で確認する

録音がし終わった音源は全て、自分の耳で必ずノイズが入ってないかなど確認するようにしましょう。

そのまま配信のサービスに渡されていまうようなことがあるので、自分が最後の確認者というつもりで音源確認します。

確認の際はスピーカー、ヘッドホンなど、DAWからの再生だけではなく他の再生環境でも確認をする必要があると思います。



まとめ

DAWはパソコンのソフトであるということです。

最近のゲームをプレイされている方であればわかると思いますが、基本的にバグフィックスを全て終わらせた後にリリースされているものではないです。

必ずソフトを信じ込むようなことはせず、自分の耳を使って録音した音源は全て確認する必要があります。

これを怠ると工業製品(配信音源など)として返品のしなければならないような事故を招いてしまう可能性があります。

もちろん納品した相手側も確認する必要があると思いますが、チーム内で1番音に詳しい存在になってしまうことが多々あります。

特に納品する音源は注意して作成をする必要があると思います。

今回は完成後、お渡しするデータ(音源編)ついて解説しました。

次回は後が楽になるステムミックス納品について解説したいと思います。

裏スタ
裏スタ

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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